木曜日, 1月 21, 2016

Windows 10 Mobileって使える??

第3の選択肢、Windows 10 Mobileはどこまですごい?

日本ではさっぱり日の目を見なかったWindows Phoneだが、今年は「MADOSMA」などの新モデルが久々に登場。さらに、昨年12月に新しいOSである「Windows 10 Mobile」が登場したのでレビューしていこう。

そもそも、僕はWindows Phoneを使ってみたくてMADOSMAを手に入れたという経緯がある(関連記事:「MADOSMA登場。Windows Phoneは買うべきなのか」)。だから、MADSOMAがWindows 10 Mobileへのアップデートに対応するというニュースは、とてもうれしく思っている。こういうメーカーの姿勢は高く評価したい。

他にも、いくつかのメーカーがWindows 10 Mobileへの参入をアナウンスしているのだが、どこも一般のユーザーにとっての知名度は高くない。僕たちテッキーな人種にはちょっとしたニュースなのだが、世間的には「Windows 10は知ってるけれど、Windows 10 Mobileなんてまったく知らない」というレベルだろう。

メーカーやマイクロソフトがテレビCMや広告を展開する様子もない。つまり、マスに使ってもらおうという姿勢は、今のところ見られないのだ。企業の戦略をとやかく言うつもりはまったくないが、そんな状況が見て取れる。

Windows Phoneが、少なくとも日本市場ではまるで受け入れられなかっただけに、Windows 10 Mobileで大きく変わるのかと思っていた。だが、どうやらそんな気配は感じられず、そこがちょっと残念だと、僕としては言いたいわけだ。


Windows 10 Mobileを搭載した「MADOSMA」。


モデルは変わらない。高級感はないがコスパの高いスマホだ。

驚くほどには変わらない使い勝手

新OSの登場に、さぞかし使い勝手などが良くなったのでは?と期待を抱いている人も少なくないだろう。中には、Windows 10 Mobileの登場を待ち続け、Windows Phoneの購入に踏み切れなかった人もいそうだ。

ところが、実際に比較してみたところ、Windows Phone 8.1からの変化はとても少ない。全体的にはマイナーアップデートと言った印象だ。

個人的にはWindows Phone 8.1自体、よくできたOSだと思っている。AndroidとiOSのどちらとも似ていない独自路線も好ましい。そもそも、Windows Phone 8.1の段階で、画面はWindows 10にそっくり。どちらも、よく使うアプリがタイル状に並び、必要に応じてすべてのアプリをリストアップする。この仕組みは悪くないと思う。Androidではよく使うアプリをホーム画面に置くのだが、アプリ一覧との差がなくてぐちゃぐちゃしてくる。iOSはよく使うアプリという概念があまりないので、自分でホーム画面のページを切り分けるなどして工夫するしかない。

また、通知もWindows 10とほとんど同じになっているのは、使っていてうれしくなってしまった。Windows 10の通知はとても使いやすく、僕は高く評価している。これと同じ機能が利用できるのだから、Windows 10ユーザーはとても使いやすいだろう。ただ、それが他のスマホに対するアドバンテージだとは思わない。すでに、iPhoneなりAndroidスマートフォンを誰もが使いこなしているからだ。


新旧OSの差が分かるだろうか? 左が新しい「Windows 10 Mobile」なのだが、ほとんど変わらない。

Windows 10 Mobileのホーム画面だが、Windows Phone 8.1とほとんど変わらない。


Cortanaに目新しさはない

Windows 10でもちょっと話題になっているCortanaだが、個人的にはまったく魅力を感じていない。そもそも、パソコンでマイク入力をオンにしておく習慣がなかったからだ。しかも、常にキーボードに手があるパソコンで、いちいち音声で入力する魅力を感じないのが正直な感想だ。

ところが、Windows 10 Mobileに採用されたCortanaは、結構使いやすい。キー入力が面倒なときに音声で天気を調べたり、さまざまな作業ができる。

だが、特別に素晴らしいかと問われたら、答えを濁すしかない。すでに、Siriがずいぶん前から使われているし、両者の違いもさほど感じられない。後発の方が、目新しさがないだけに不利だ。そもそも、Siri自体が世間一般によく使われているとも思えない。

純正の地図アプリが搭載されたのは高く評価したい。というより、こちらもようやくまともに使える状況になったか――という印象だ。ルート案内は徒歩、車、電車に対応しているが、ナビは使えない。また、縮尺によってはかなり画面がぼやけるのが気になった。


「通知」はWindows 10と同じでかなり使いやすい。


「Cortana」はどうしてもSiriの二番煎じに思えてしまう。


「マップ」は縮尺によって表示がちょっとぼやけるのが気になる。

ルート案内にも対応する。


ビジネス向けに支給するスマホに向く

Windows 10 Mobileは、良いOSだと思う。だが、すでにiPhoneもしくはAndroidを持っている人が追加で買う、もしくは買い換えるかというと、首をかしげざるを得ない。あくまでも第3の選択であり、しかも、先行する2つのOSは強力だ。

最大の特徴はWindowsとの親和性の高さだろう。Windows 10のパソコンと同じアカウントでログインすれば、設定なども多くが引き継がれる。また、OneDriveなどの使い勝手も良好だ。

そう考えると、会社で一括導入し、まとめて設定を済ませてセールスツールなどに使うのが向いているのだろう。つまり、これはエンタープライズ向けのスマホのような気がしてならないのだ。

Windows 10のPC向けアプリも条件次第でWindows 10 Mobileで動くように設計されているのだが、これからそんなアプリを提供していくメーカーがたくさんいるとはとても思えない。そもそも、Windows 10向けの秀逸なアプリはほとんど登場していないのが現状だ。

しかも、パソコン向けのアプリはサッと使うのではなく、大物だから意味がある。Excelで分析をしたり、Photoshopで画像を加工する人は、スマホで作業しようとは思わないだろう。そう考えると、PCとWindows 10 Mobileで同じアプリを使えるようになるのは、やっぱり業務用だと思う。特定の業務に向けて開発したアプリが、両者で使えるようにセッティングして生 産性向上に使うのだろう。例えば、小売店の移動レジにしたり、セールスパースンが行動を管理するのに使えれば便利そうだ。


結論をまとめるなら、
個人用のスマホとしては、少しもすごくない。

業務用スマホとしてのすごさは、ソフトウエアとパッケージでどこまで提案できるかにかかっているだろう。


OneNoteが普通に使えるのは便利だが、このあたりはiOS等と変わらない。

OneDriveによるファイルの共有も重宝する。

ストアに並ぶアプリにはゲームなども目立つが、iOSやAndroidには遠く及ばない。もはや、同じ方向に進む必要すらないように感じる。


MADOSMA、Windows Phoneは買うべきなのか