日曜日, 10月 25, 2015

『PLAYBOY』の主な収益源は、「ロゴ」


PLAYBOYは「ヌード」ではなく「ブランド」を選んだ

女性のヌード写真の掲載を止めると発表した『Playboy』誌。同誌を発行しているPlayboy Enterprises社の主な収益源は、雑誌の売り上げではなく、Playboyロゴマークのライセンス使用料だ。

女性のヌード写真の掲載を止めるという『Playboy』誌の発表が、同誌の首を絞める決断であるように思えるとしたら、次のように考えてみよう。同誌を発行しているPlayboy Enterprises社は、見開き写真付き雑誌の売り上げではなく、Playboyのロゴマークのライセンス使用料によって収益の大部分を稼いでいる、というふうに。

Playboy誌のスコット・フランダーズCEOは『Times』紙に対して、オンライン上でポルノが広く利用できる状況を指摘し、ヌードが「時代遅れ」になったと述べている。
だが、それ以上に重要なことは、ヌードが今日のソーシャルメディア・プラットフォーム上で勝負できないという事実だ。Playboy誌は裸の女性でクリックを獲得することはできない。なぜなら、FacebookやInstagramが規定により、ヌード画像の掲載を許可していないからだ。


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一方、Playboy誌が獲得するライセンス契約には、アパレルやビューティー製品などのローエンドなラグジュアリー・アイテムのほか、ロサンジェルスにある「Bar Fifty Three」のような、ブランド化されたカクテルラウンジなどが含まれる。『License! Global』誌は2014年に、国際的ライセンサー上位150の42位にPlayboy社をランクインさせている。彼らはこのブランドを守る必要があるのだ。

創刊者のヒュー・ヘフナーが1953年に、「自分が探究している素晴らしい世界を投影するものとして」この過激な雑誌を発刊しようと決めたとき、最初のクリエイティヴ・ディレクターおよび当初の唯一の共同制作者として選んだのが、シカゴのアーティスト、アート・ポールだった。

ポール氏が30分で描いた「蝶ネクタイを付けたウサギ」のロゴマークは、第2号からすべての表紙を飾ってきた。このマークは有名アイコンになったと いっていいだろう。1953年に構想されて以来、変化していないこのロゴマークは、「プレイボーイ」を明示しているわけではないが(そもそも人間ですらな い)、Playboyを直ちにイメージさせるものとなった。

ヘフナー氏はかつてインタヴューで以下のように述べている。「『New Yorker』誌と『Esquire』誌は両方とも男性をシンボルとして使用しているので、ウサギは特徴的になると思った。フォーマルな夜会衣装を着たウ サギのアイデアは魅力的で面白く、適切だと感じた」

陽気さと洗練さを想起させるこのシンボルと、ヘフナー氏のオリジナル・ヴィジョンは、非常に人気を呼んだ。1960年には、高級ナイトクラブ「プレイボーイ・クラブ」とバニーガールたちも登場した(バニーガールは、正式には「プレイボーイバニー」という名前で商標登録されている)。

Playboy誌は決して単にポルノだけではなかったし(高名な寄稿者には、トルーマン・カポーティ、アレン・ギンズバーグ、ジョン・アップダイク などがいる)、若い男性だけを対象にした雑誌でもなかった。ヘフナー氏はもともとそのような方向を目指して、このブランドをデザインしたのだ。

ヘフナー氏は最初の編集後記の中で、Playboyは、「ピカソ、ニーチェ、ジャズ、(そして)セックスについて」落ち着いて論考することを好む男 性のための雑誌だと述べている。同誌が今後、ヌードを掲載せず「少し上品に」になることは、このライフスタイル・ブランドにとって良いことに違いない (「NY Times」の記事によれば、2015年8月、同誌のウェブサイトでヌードの掲載をやめてみたところ、1カ月のユニークユーザー数は400万人から1,600万人に増え、閲覧者の平均年齢は47歳から30歳に若返ったという)

 

 

TEXT BY MARGARET RHODES
TRANSLATION BY TOMOKO MUKAI, HIROKO GOHARA/GALILEO
WIRED NEWS (US)