この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2014 【ベスト101~200】
2014年のコミックの装丁を振り返る特集、「この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2014」。
101位から200位まで。
対象作品:2013年12月1日から2014年11月30日に発売された作品
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
Pixiv掲載の同名WEB漫画の単行本。
夜の闇の中、ナイフとフォークを添えられて
お皿の上で眠りにつく少女。
タイトルはお皿の周りに添えるように配置。
「食人」というダークなモチーフを、
メルヘンに味付けした表紙。手触りが良く上品に仕上がっている。
出版:一迅社
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
しゃがみ込んで本を抱え込むヒロインのイラストを、
フード付きのボーダー柄のトレーナーと膝だけ見えるようにトリミングし、
タイトルはヒロインの顔を囲むように弧を描いて配置。
シンプルかつ色のまとまり方が個性的。
出版:少年画報社
装丁:川谷デザイン
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
この作品はの表紙は1巻からゴールドやシルバーな
ど基調のチョイスが一々ゴージャスなのだけれども、
そんなゴージャスに負けていない5巻の
コスモを感じそうな「宇宙っぽい」表紙。
無駄にカッコ良いというか、
「無駄」がつくようなカッコ良さは嫌いではない。
出版:一迅社
装丁:BALCOLONY.
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
前作『王子様と灰色の日々』から続く名和田さんデザイン。
泣き顔の少女を浪人が抱き寄せるイラストをシンプルに際立たせた白背景。
『雲雀(ひばり)』に振り仮名をつけて、
これを巻数表記と同じ赤で揃えることで、
振り仮名をさりげなくアクセントに用いている。
出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
脇役にしかならないような女の子達をあえて主役として扱った異色のラブコメ短編集。
メガネをはずす女の子、その口元はタイトルを入れた枠で見えない。
自分で隠しているわけではないのに、
口元を隠された女の子はなんとなく自信がないようにも見える。
でもきっと可愛い、というデザイン。
出版:双葉社
装丁:AFTERGLOW
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
最終巻発売から4年後ということで、
恒例のサンデー人気作品大判化。
風景込みのイラスト、余白、タイトルの3段構成で
地面が白く余白イラストがスムーズに繋がっている。
モノローグのように挿入された「語り」に
とても「あだち充作品」らしさが出ている。
出版:小学館
装丁:田口孝敏
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
顔アップ系の表紙の中で顔にタイトルを載せる系も
ジャンルとして紹介できそうなほどネタがたまってきた。
同じ名和田さんデザインの『お慕い申し上げます』
ではタイトルを頬に載せていたが、
こちらは鼻の上、顔面ど真ん中。
なるほど、鼻筋を描かないタイプのイラスト+A5版+顔アップという条件で
タイトル置き場の一等地が出現している。
出版:少年画報社
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
エリスとゆかいなメイドたち / 有井エリス
ご主人様のいないメイド達が作った図書館というコンセプトの、秋葉原で営業されている喫茶店、シャッツキステ。そちらの店員さんがアキバblogで連載している、お店の様子をファンシーな目線で描いた4コマ作品。店内のテーブルにメイドさんたちの切り抜きを立てて、タイトルを看板のようにぶら下げ、ほぼ写真だけで構成された表紙。お店の目指す「二次元と三次元が交わる場所」が見事にアウトプットされたようなデザインに仕上がっている。
出版:KADOKAWA / エンターブレイン
装丁:BALCOLONY.
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
「楽園」誌上で発表した読み切り作品6本を中心に、
描きおろしを加えた作品集。
クッションの山に体をうずめる女。
明るい夜のように青で染まったイラストの上に手書きの星がまたたいて、
大人っぽくありながら、乙女チックでもある。
出版:白泉社
装丁:simazima 平谷美佐子
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
祥伝社で刊行された短編集『ペコセトラ』に、単行本未収録の3編が『プラス』された豪華新装版。
森の中で横たわり、長すぎる髪を地面に広げた女性、ピラカンサス、きのこ、カエル。大きく見せて栄えるイラストであり、イラストがカバー全体に掛かっていること、収録作品が多く本が厚いことも合わせて、大判サイズであることがとても生きてカバーが印象深くなっている。
出版:幻冬舎
装丁:Pri graphics 川名潤
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

/ 長田龍伯
1巻はH・R・ギーガーっぽい、もしくはRタイプっぽい。2巻はサイレントヒルっぽい、と良い意味で感じた。
グロテスクを美しく見せている表紙。
出版:講談社
装丁:RedRooster 福永真未
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
敗戦焼け跡グラフティ。
ガタイの良い日本兵のオッサン二人が高所で見張りをしているイラスト。言葉にするとむさいことこの上ないはずが、なんとも時代がかっていて良い味を出している。タイトルは黒で作者名や巻数表記、タイトルの振り仮名は白。自然に馴染んでいるが、バランスの取り方が何気なく面白い。
出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:セキネシンイチ制作室
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
産科医療漫画。
ダイレクトに赤ちゃんで攻めてきたという点で3巻と同じだが、
全体を暖色で統一したことによる温かみと、
赤ちゃんを抱く構図の面白さで印象深さが増した。
出版:講談社
装丁:渡邊龍太郎
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
巻数は4、「窓から見える青空」も4回目。
今回から衣替えで制服は上着を羽織って重たい印象に。
体育祭のシーズンでハチマキを巻くために髪をいじらせるも
互いに頬を赤らめる、そんな現状の距離間を出したイラスト。
地面無しの見上げる構図になっていて、既刊よりも見える空は高め。
デザインの縛りとしては結構強いと思っていたけれどもネタは尽きない。
最後まで空は青いのか、行方はちょっと気になる。
出版:白泉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
旧単行本未収の新作を収録して、8巻構成で復活した新装版。
基本的には各巻にメインキャラクターを1人(4巻は姉妹二人)配置したシンプルな表紙になっているが、7巻は一家(2名+居候1名)なので枕を並べた見下ろしの面白い構図のイラストを採用していて雰囲気が少し違う。
34歳の無職さんでなくても、キャラが就寝するという表紙は成立するらしい。
出版:講談社
装丁:Zooham
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
/ 田島昭宇,大塚 英志
基本的に人物イラストが出てこない表紙なので、
20巻もいつもと変わらない歪なアート感が出ているが。
奇妙なテレビを介して作中キャラクターを登場される構成が
ちょっと珍しい。
次々巻で完結(予定)。
出版:KADOKAWA/角川書店
装丁:鈴木成一デザイン室
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
ホラー短編集。
表題作は、表紙の双子が端正な顔立ちで良い子に見えるが、やることなすことエグい・グロい、という作品なので、イラストでは二人におすましさせて蔦を添えた鮮やかなタイトル文字で表紙を耽美に整えつつ、骸骨、継ぎ目のあるヌイグルミなどの小道具や、タイトルの奇妙なレイヤー配置でほんのりと不気味さや違和感を出している。袖が大きく、鮮やかな赤色が広がっていて、開いたときの印象が良い。
出版:集英社
装丁:imagejack 團夢見
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
2巻 / 吉川景都
動物にやたらと好かれる男子中学生を描いた学園コメディ。
タイトルをイラストの上に大胆配置した表紙。
1巻はイラストが顔アップでさらに大胆だったけれども、
好み的には少し落ち着いたこちら。
出版:少年画報社
装丁:川谷デザイン
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
熟練3人組+バーのカウンター。
作中ではバンバン巨人が出てきてくれたほうがうれしいけれども、
表紙には巨人がいないほうが自分の好みに合うらしい。
出版:講談社
装丁:RedRooster 下山隆
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
不思議な言葉をキーワードにした、
全寮制男子校の幻想物語。
色あせた少年達に赤いリボンが絡みつく。
イラストが完全なグレースケールでなく
色を持っているのがポイント。
出版:KADOKAWA / 角川書店
装丁:釣巻デザイン室
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
発する言葉が毒舌になってしまう悪意なき毒舌娘の4コマ。
「クソムシ」(惡の華)、
「まりかよりかわいい子はみんな消えろ」(まりかちゃん乙)、
そして「脳に食べるほうのミソ入ってるの?」。
表紙で口汚く罵られるデザインをご所望の方はこちらまで↓
出版:竹書房
装丁:hive 久持正士
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
/ Cuvie, 村山久美子
本格クラシックバレエ作品。白鳥の衣装を身にまといポーズを決める主人公。
手や足、スカートをはみ出させながら、力強さを感じさせるイラストの位置取り。
羽根を散らせた紫のタイトルがまさに「絢爛」。
結構主張の強いチャンピオンREDのロゴも上手く調和している。
出版:秋田書店
装丁:芦田デザイン事務所 芦田慎太郎
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
手料理おもてなし4コマ、もしくは毎日がお食事パーティー4コマ。
制服キャラに大きなホットケーキ、沢山の果物。白背景の上をふわふわっとアイテムで賑わせつつ、文字の一部やエプロンの黄緑色で締める。
白がイラストを引き立てる表紙は好きで、この作品もそのタイプに分類できるけれども、さらに色彩のバランスで白い部分がとても綺麗に見える。
出版:竹書房
装丁:装丁:CHProduction 内古閑智之
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
/ TEAM MOON, 永井豪
デビルマンとマジンガー。
中央に置かれながら若干目立たない水色のタイトルが、
冗談みたいなすごい絵面を際立たせている。
出版:講談社
装丁:fakegraphics
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
真ん中になるタイトルを挟んで、
左もアメリカ人は自由の女神、右の日本人は東京タワー、と
それぞれの国の建造物を自らの影で作っている。
そんなに綺麗にその影になるか!という突っ込みも含めて
国籍ネタを扱った作品として面白い表紙になっていると思えた。
出版:集英社
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
/ トニーたけざき, サンライズ
ザクを簡略化した超量産型モビルスーツ
「サク」が登場するガンダムギャグ4コマ作品。
赤いモノアイと黄緑のボディ。
それだけで量産っぽいというか、改めてよくできた記号だと思う。
出版:KADOKAWA
装丁:ペッパーショップ 古賀学
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
大学の研究室を舞台にした海洋動物と恋の物語。
クジラ、亀、イルカに魚。
背景に水色を用いずに、
人物や生き物を淡く染めて水中感を出した、
瑞々しい白タイプの表紙。
タイトルと作者名のフォントがまた可愛い。
出版:講談社
装丁:arcoinc 楠目智宏
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
/ Olympus Knights,ピナケス
志村貴子先生がキャラクターデザインを務めるロボットアニメ作品のコミカライズ。アニメの方はCMでの演出を含めて文字周りが非常に洗練された印象を持っているが、単行本のデザインもアニメ版のロゴデザインを務めている方を起用していて、その辺の美しさをしっかり引き継いでいる。芳文社のコミカライズは、そのへんが抜かりない。
出版:芳文社
装丁:日本デザインセンター 有馬トモユキ
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
/ ジジ&ピンチ,犬童一心
AKB48のメンバーが出演していた深夜ドラマのコミカライズ作品。平原で女子高生が射抜いたゾンビを見下ろす白黒のイラスト。白黒イラストのアクセントになりながら可愛い方向には寄らないピンクの色使い。
タイトルロゴは映像版と同じようだが、ピンク色の囲いはコミカライズ独自のもので、比べてみると映像版での味気なさが見事に消えたに感じた。
出版:小学館クリエイティブ
装丁:arcoinc 楠目智宏,池田悠
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
今回結構紹介している
新上さんデザインの講談社青年誌作品完結巻。
光差す方を目指すように、
配色と構図によって強く方向性を持たせた
力強いバストアップでフィニッシュ。
出版:講談社
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ,粟村佳苗
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
/ 柴谷けん
数万年後の地球で、イカが「人類が絶滅した原因」を探る、人間観察ギャグ作品。オレンジの背景とくっきり描かれた数万年後のイカ、そして頭蓋骨。
頭蓋骨のリアルさとイカのゆるいキャラ造詣のミスマッチが特徴的。
タイトルは頭の中の考えを表現するフキダシ風。
出版:双葉社
装丁:arcoinc
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
変身すると魔法少女になってしまう男の活躍を描いたWEB連載のヒーローコメディ。
顔の見切れた変身ポーズの主人公の上に、変身後の姿である魔法少女を同じポーズで配置。「魔法少女」の太字が力強く、今回紹介する魔女/魔法少女作品デザインの中で一番凛々しい(200+αある紹介作品のうち、魔女/魔法少女ものを4作品入れている)。イラストの主人公本来の姿の部分は袖に収録されていて全体を確認できる。
出版:ほるぷ出版
装丁:川谷デザイン
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
兄妹や姉妹を忌み嫌う社会を舞台とした連作短編集。
アナログの細かく丁寧に描かれたイラストを
タイトル配置用に入れられた上端の白いラインが
表紙としてスッキリさせている。
カバーの手触りがとても良い。
出版:秋田書店
装丁:Pri graphics 川名潤
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

1・2巻 / 薫原好江
秘密のある男の子達のオムニバス。
裸の男性。林檎とタイトルの「秘密」「secret」の文字色揃え。青と赤、2冊揃うとより印象的。
出版:講談社
装丁:NARTI;S 濱嶋由記子
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
/ 片山ユキヲ, 東百道
本と主人公を入れてあとは自由、と言った感じに構図やタイトル位置を変えたバラエティに富んだ表紙が続いてきた中、主人公が正面を向いてタイトルを中心に持ってきた一番ストレートな表紙が出てきた。1巻のポーズを踏襲した完結巻とどちらを紹介するか迷ったが、力強い成長を見せ付けるこの巻を最後にチョイスした。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 黒木香
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

1・2巻 / 星野 リリィ
少女+きぐるみ。丸みを帯びた元気の良いロゴ。可愛らしくもあるが白背景ですっきりした表紙のこの作品は、なかよしコミックスでありながら、B6サイズでITANやARIAのマークを背表紙につけて刊行されている。
出版:講談社
装丁:arcoinc 楠目智宏
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
こちらも新上さんデザインの
講談社青年誌作品完結巻。
完結巻になって表紙で初めて出てきた空はとても広かった。
出版:講談社
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ
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
/ さだやす,深見真
透明なデスクと半透明なキーボードがあるような
下から覗くタイピング時のイラストを採用した表紙。
「カタカタカタッターン」も調理次第でここまで絵になる。
出版:小学館
装丁:ジェニアロイド 小林満
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
「二足歩行で人語を話す、それこそが猫」という世界で、飼い主の飼い猫の日常生活を描いた作品。
貧乏な生活臭を匂わせる4畳半のお食事シーン。タイトルは窓の外に置かれている。ほのぼの感が出た良い表紙。
シンプルになった2巻の表紙の方が評判が良いという話を小耳に挟んだ気もするが、そんなことは気にしない(気にしていないとは言っていない)
出版:講談社
装丁:装丁:hive 久持正士
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

流されるまま専門学校のマンガ講師になった、咲かずして枯れた漫画家と、人生手探り中の生徒達の、迷走しまくり青春群像劇。
余白の多い空間に、タイトル、作者名、出版社名の縦のライン、イラストの広いテーブル、巻数、英文の横のラインが合わさって規律を作っている。
出版:マッグガーデン
装丁:コードデザインスタジオ
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
前巻の宇宙以外は大体いつも近所のひとコマ+いつもの服という表紙だったので、8巻は風景が遊園地メリーゴーランドで衣装もお出かけ用の赤服と色味に富んでいて印象が一味違い、既刊より作者のイラストレーター色が出ているように見える。
何気に安倍先生の作品が10巻を突破してしまいそうなのがめでたい。
出版:スクウェア・エニックス
装丁:ソルト ヤマザキミヨコ
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
小さな奥さんのお話。」 / 高橋しん
本屋に嫁いですぐに旦那さんに先立たれた奥さんの奮闘記。奥さんの小ささを強調する踏み台と本棚の構図。貸本用のネームラベルのようなシールがずれたように傾き、そこにタイトルが載せられている。イラストの中には実際の作品がわかるように本の表紙が描かれているようで、見つけた本を再読した方の記事を読んでほっこりした。
参考:本から本へつながっていく『あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。』を読んで
出版:白泉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
雪降る田舎町を舞台に、
純粋な少女が少しずつ大人に近付いていく小さな恋の物語。
グネグネした枠が、イラストを、寒さで曇った窓を
キュキュッと拭いて現れた景色のように見せている。
出版:双葉社
装丁:コードデザインスタジオ
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
生徒と生徒と先生。かなん改め大月悠祐子が描くピカレスクラブロマン(←amazonの紹介文を引用してみたけれどピカレスクってなんぞや)。
『妄想少年観測少女』では表紙を縦で3分割していたのに対し、
今回は横で3分割している。
赤と黒のコントラストが淫靡で背徳めいた空気をかもし出している。
出版:白泉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
シュール系日常4コマ作品。
電車のドアにありえない挟まれ方をしているギャグイラスト。
フキダシにタイトルや作者名を入れたフキダシ系デザインに分類できるが、
フキダシの綺麗なデザインが表紙に個性を加えている。
出版:一迅社
装丁:BALCOLONY.
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
とある男の子の様々な人生の地点を描いた物語。
草原のような星空のような抽象的な空間に腰を下ろす男の子。
物は一切描かず、飛びきり形を崩したタイトルで表紙を飾り立ててる。
出版:集英社
装丁:川谷デザイン
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
宅録好き引きこもり浪人ガール4コマ。
139位に続き、こちらも後から出てきた青空系で、
飛行機雲が特徴的。
1巻の表紙は物語から必然的に物で溢れた自室になっていて、
タイトルを下にした見下ろす視点からタイトルを上にした見上げる視点になる、
この流れがとても気持ちよい。
出版:芳文社
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
/ 厘のミキ
オーディション×デスゲーム作品。
パーティーのように賑やかなパステル調の華やかなイラストと、黒くいびつなタイトル。
出版:一迅社
装丁:imagejack 團夢見
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
学生服を着た少年、その首には「切り取り線」。
タイトルは通巻で定位置に配置されていて、
今回はそれが人物の顔に掛かっているが、それがかえって
イラストの見るべきポイントを強調することになっている。
出版:秋田書店
装丁:-
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
紺色の背景とヒガンバナと揚羽蝶。
毎年数冊出る中、
「これ好き!」と紹介したくなるものが
だいたい1冊出てくる。
出版:講談社
装丁:SPICE 柳川価津夫,辻威行
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

上下巻 / 小路 啓之
アフタヌーン掲載作品3巻分を上下巻にまとめた新装版。イラストはシンプルに、文字組みで表紙を賑やかしている。上下巻の対照的な文字配置が特徴。
出版:マッグガーデン
装丁:コードデザインスタジオ
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
猟奇サスペンスホラー。
蛙の覆面、それはそれだけで何となく薄気味悪い。
これが馬の覆面だと途端に面白くなってしまう気がするが、
バラエティに使われまくっているからかもしれない。
出版:講談社
装丁:banjo 坂上和也
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

さよならハルメギド 1・2巻
/ きづきあきら,サトウナンキ
青空と夕空。さよなら○○系タイトルでもかなりパンチが効いている「ハルメギド」(=メギドの丘=ハルマゲドン)。加えてそのタイトルが乾いたロゴになって、ずしりと表紙に圧し掛かっている。イラスト自体はニュートラルでほんわかでもいけそう、そこでタイトルが空気を作っている表紙。出版:双葉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
「愛人を作ってみたい!」そんな無謀な夢を抱いた男たちによる、不倫をテーマにしたラブコメ作品。
例えばマンガ版『とらドラ!』のように通巻で均等分割でないイラストエリア2分割の構成をとっていて、女性の入ったイラストにカットインを入れるように凛々しく男性達を挿入している。狭い隙間に男がずらっと並んだ4巻が変にカッコイイ。
出版:講談社
装丁:banjo 坂上和也
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
4篇収録の作品集。
でこぼこしたカバーは古びた掛け軸のように淡く色づき、
ところどころに「シミ」が広がっている。
タイトルは筆文字、イラストは線画。
年代物的な趣を感じさせる装丁。
出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:HONDA GRAPHICS 椿山喜昭
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
溶けやすい / 黒谷知也
1話あたり数ページ~十数ページの12のエピソードが収録された短編集。表題作には収録作品の中で一番長いタイトルのものをチョイス。水色、黄色、オレンジ色の塗りわけが特徴で、水色が多くアイスクリームのように涼やか。そして暖色で染まった町が夕暮れのようで少し切ない。黒いタイトルの文字が見やすく、すっと読ませる。
出版:小学館
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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

魔界から召還された悪魔・邪神ちゃんが、ボロアパートでゴスロリ女子大生にオシオキされるバイオレンスギャグ作品。
キャメルクラッチにアルゼンチン・バックブリーカー。下半身がヘビの人外キャラにプロレス技をかけるという絵が妙に様になっている。
出版:ほるぷ出版
装丁:BALCOLONY.
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
さとり世代の新人が舞い降りた~ 1巻
/ ハシモト, 松駒
ツイッターの呟きから生まれた、ニーチェ先生と名づけられたコンビニ店員観察作品。威風堂々とコンビニ店員がバーコードリーダーをかざすイラスト。そこに「ニーチェ先生」というタイトルが特大の大きさで配置されることで、コンビニ店員がありがたい啓示を与えてくれる偉人のように大物感を漂わせている。
出版:KADOKAWA / メディアファクトリー
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ,原口恵理
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
小学6年の夏。親友を亡くした少年が、自分の町と親友が生きている自分の町とそっくりの町を行き来する、パラレルワールド冒険譚。
不思議な光に導かれてたどりついた空き地の切り株の穴に別の世界が…という発端の重要なエピソードがイラストになっている。小さな穴から覗ける別世界、という状況を見せるべく、風景の大部分は白黒になっていて、色の付いた少年、切り株、穴の奥の町が目立つ。
出版:講談社
装丁:セキネシンイチ制作室
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
―サメマチオ随筆集 / サメマチオ
日常のあれこれを綴ったエッセイ作品。
4コマというか、4分割で飲み屋の時間経過を描いたイラスト。
整ったタイトル文字に手書き風のローマ字、そして描かれている
イラストの雰囲気はゆるく、いい具合に力が抜けている。
出版:秋田書店
装丁:Pri graphics 川名潤
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
白と黒のスタイリッシュな殺戮エンターテインメント。
黒いフードで頭を覆った少女。ガムの風船は、
コウモリになって飛び去る。
白、黒、クリーム色のスタイリッシュな表紙で、
アメコミのような雰囲気を感じさせる。
出版:KADOKAWA/エンターブレイン
装丁:セキネシンイチ制作室
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
爺さん渋い(8巻)、ピンク可愛い(9巻)ときて、雨の日の遊園地がしっとりと叙情的な10巻。さらに限定版には「BUMP OF THE CHIKIN」のCDがついてきて、厚紙のCDケースのデザインも良かった。
まったく関係ない話になるが、この10巻限定版は家族で3セット持っていて、うちの家系はどれだけ「3月のライオン」もバンプも好きなんだと言いたくなるが、それでも別途電子配信された「ファイター」をダウンロードしないとスピンオフマンガを読めないというのは何気に悲しい話である。
出版:白泉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
既刊のなかでもっとも行儀よく動きもない、
しかし完璧に絵になっている、落語家の正座。
黄色と黒の警戒色的な組み合わせが不思議と落ち着く和の表紙。
出版:講談社
装丁:zelas
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

篭鳥探偵・芙蓉の夜伽噺 1巻
/ 加藤実秋,わたり,丸山朝ヲ
吉原大門から出ることのできない花魁が事件の謎を解く、江戸の安楽椅子探偵もの。
こちらは艶やかな和。
出版:スクウェア・エニックス
装丁:BALCOLONY. 大石恵美
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
3巻 / 保谷伸
エリート高校生の、人見知り少年友達作りお手伝い漫画。
タイトルは、口下手少年の気持ちを代弁するスケッチブックに配置。
どこがどう良いと細かい説明をしにくい、
ストレートにイラストが素敵だな~と思った表紙。
出版:徳間書店
装丁:NARTI;S 新上ヒロシ,原口恵理
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
装丁が凝っている裏サンデーのコミックの中でも毎回デザインが大きく変わって楽しみな本作。
5巻は、この企画をやって1回以上は取り上げている気がする『アルフォンス・ミュシャ』をモチーフにしたデザインになっている。しかも、背後の円の中の装飾やタイトルなど一部分に光沢加工が施されたちょっとリッチなミュシャ風。
出版:小学館
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 石沢将人
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
「コスプレ」が全ての26歳派遣社員・女性、好きなことを続けるということの物語。
魔法少女のフリフリの衣装に身を包んだ主人公。ここに立体感を出したポップなロゴでも載ればファンタジーな作品に見えるかもしれないが、この作品の舞台は魔法の無い日本社会。シンプルで飾り気のない、どこか不安定なロゴがイラストとの温度差を生んで現実を突きつける。
出版:講談社
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
京都のご飯に着目したグルメ作品。
『おやすみプンプン』的もしくは『おしゃべりは、朝ごはんのあとで。』的と言うか、主人公の美大生(♀)のキャラが可愛らしい謎生物になっている。表紙では、このキャラをタイトル・作者名と共にラベルのようにまとめて、精細な料理イラストの上に載せたデザインになっている。
出版:祥伝社
装丁:Pri graphics 川名潤
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
上司の命令で地上へやってきた怠惰な天使の居候4コマ。
タイトル、作者名に含まれる「○」を同じ大きさと形にして、余白にもぽつぽつと散りばめてた表紙。ちょっと間抜けな脱力感が発生している。
自分は『○本の住人』(kashmir)を思い出したが、『日常』(あらゐけいいち)らしさを感じた方もいるようで、どちらももちろん里見さん。
出版:KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
装丁:里見英樹
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
/ コダマ ナオコ
旧版を紹介したのが『すごい!2011』で、そのときは芳文社。そして今回は一迅社から百合姫コミックスとして刊行された。編集者と漫画家の物語ということで、散らばる原稿用紙には自分達が描かれてているという、旧版に続くメタ構成。「漫画家系漫画は色々装丁的も凝っているものが多く、しかもまだまだいろんなタイプの装丁が生まれそうなジャンルでもある。」という前回付けたコメントが同じ作品で実現した。
出版:一迅社
装丁:simazima 平谷美佐子
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
忙しい女性エロ漫画家による、忙しい人のためのお食事4コマ作品。
一文字ずつ色を変えたカラフルな極太タイトルと、
テンションの高いチビキャラ配置。
見て"楽しい"デザイン。
出版:芳文社
装丁:装丁:CHProduction 内古閑智之
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
胸にコンプレックスを抱えた二人による百合整体コメディ。
左が「板谷」さんで右は「牛山」さん。
名が体を表す二人をタイトルの名前と重なるように向き合わせ、
赤い背景でそのボディラインを強調している。
烈コミックスに多い細かいホログラム加工が赤い背景とマッチして
ちょっとリッチな雰囲気になっている。
出版:秋田書店
装丁:5GAS 宮村和生
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
/ さとうふみや,天樹征丸
『金田一少年の事件簿』における主人公の宿敵・高遠遙一の少年時代にスポットを当てた番外編作品。本家のタイトルロゴが少年漫画らしいカッチリまとまったものになっているため、さとう先生の絵と、文字組みで面白さを出したすっきりしたデザインの組み合わせがとても新鮮に感じられる。『サイコメトラー』、『GTO』に続き、『金田一少年』にも今風装丁の波がやって来た。
出版:講談社
装丁:hive 金子歩未
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
女の子の友情や愛をテーマにした百合短編集。
女の子に大胆に被さりながら邪魔せず、
黒の中で鮮明に浮かび上がるピンクのロゴ。
「A」の文字に結ばれているような白いリボンが印象的。
出版:一迅社
装丁:川谷デザイン
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
テーマやモチーフに植物を絡めた5編収録の短編集。
表題作は研究者である天才少年と不思議な核が水をまとってできた少女との出会いを描いた作品で、表題作の扉絵を膨らませたものが表紙に使われている。中心に開いた縦のラインに配置された3文字のタイトルの隙間には、中かっこ({})で区切られる形でローマ字の各種文字情報や表題作を象徴するマークが入っており、タイトルや文字情報が縦に並んだ1つのロゴのように機能している。
出版:講談社
装丁:BALCOLONY. 嶋美弥
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
メメント・モリ:ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」。
白い背景、白い棺おけ、横たわる白いドレスの女性。
タイトルと作者名がフォントも色も大きさも同じで並んでいるが、
「めめんと森」、「ふみふみこ」、と共に語感も字面も良く、
シンプルでも面白い素材になっている。
出版:祥伝社
装丁:Pri graphics 川名潤
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
島内唯一の中学校の生徒数4人。
日本の最西端の離島、スローライフ青春コメディ。
琉球方言で「なんくる」は「自然と、ひとりでに」、
「なんくるないさー」は「何とかなるさ」。
その前向きで朗らかな黄色いタイトルが乗っかることで、
青空の下の少年達に南国のゆったりした時間が流れる。
出版:KADOKAWA/メディアファクトリー
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
UNDERGROUND / 座二郎
作者が通勤中の地下鉄車内で描いた通勤ファンタジー作品。
迷路のように入り組んだ駅の構内地図の手描き感溢れる線画、
そこに「RCU」と「Z」が目立つ。
「RCU」はタイトルの単語の頭文字で「Z」は作者名の頭文字で、
頭文字を極端に大きくして不思議な記号性を持たせている。
出版:小学館
装丁:セキネシンイチ制作室 森敬太
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
/ 小西幹久
偉人であった頃の前世の能力を引き出して戦うバトル作品。メタリックシルバー+赤。
タイトルのラスト二文字に挟まり、赤く染まった首筋。
首を切り裂くと花びらが散って能力が開花する、という内容に即した
デザインになっていて、美しいがなかなかにショッキングでもある。
出版:マッグガーデン
装丁:ベイブリッジ・スタジオ 佐藤千恵
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
老夫婦が経営するコンビニを舞台に、
二人のクセのある接客が小さな風を巻き起こすコメディ作品。
背格好の良く似た老夫婦を奥に、客の後姿を手前にした個性的なレジ打ちの風景。タイトルと作者の黒・青2色の色分けがとてもコンビニらしい。表紙のイラストを後ろから遠景で捉え、伸長の低い二人がレジの裏で箱を足場にしている裏表紙とセットで見てもらいたい。
出版:小学館
装丁:BRiDGE 松本哲児
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
/ akka,株式会社インターネット
ボーカロイド曲の漫画化作品。
キャラに焦点を合わせるようにぼやけたハサミを大胆に中央配置。
切り裂かれてずれたタイトルがクールに決まっている。
出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
装丁:BALCOLONY. 大石恵美
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
/ 高木しげよし, 綾奈ゆにこ
少年の好き、嫌い、その生き方そのものが世界の平均になってしまう、文字通りのセカイ系。
背景の装飾や一部の文字色が、キャラの服色に使われている赤紫色と紺色。
色選びと整え方が個性的でオシャレな白カバー。
出版:一迅社
装丁:装丁:CHProduction 内古閑智之
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
/ 大暮維人,舞城王太郎
背景は黒と水色の市松模様で、
黒い部分に色調を反転させた形で
作中のイラストが入っている。
出版:集英社
装丁:大塚いちお事務所 河村杏奈
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
日本のむかし話をもとに、市井に生きる人々の暮らしや風習、愛憎模様を丹念に紡いだ短編集。
女と、行灯によって浮かび上がった巨大なクモの影。
イラストの手間に1枚の平面を作るような文字配置。
イラストを完全によけるわけでもなく、大事なところはみせつつ
大きく被せた筆文字タイトルの位置取りが絶妙。
出版:ぶんか社
装丁:コードデザインスタジオ
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

田中くんはいつもけだるげ
1・2巻 / ウダノゾミ
その表情と姿勢がけだるげとしか言いようがないイラストに、イラストに合わせて傾いた大きなロゴが乗っかって、だらーんとした傾きを強調したけだるい空間を形成している。
出版:スクウェア・エニックス
装丁:川谷デザイン
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
見知らぬ4人が空港を行き交う一瞬に影響を与え合い、
前に進んでゆく連作オムニバス。
白とグリーンの縦ストライプを背景にして、チケット持つ二人の女性を配置。タイトル・作者名は、作品を紹介する英文と共にきっちりと見やすく白いボックスにレイアウトされている。また、背景には白抜きの飛行機が飛んでいる。空港をモチーフにしたすっきり整ったデザイン。
出版:白泉社
装丁:arcoinc
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
『制限時間内に決められた数の人間を殺すこと』。鬼になった少年のカウントダウン異能鬼バトル。
中央に主人公、その背後には巨大な鬼(わかりやすく言うならばスタンド)。
タイトルにはノイズが乗ったかのように線が入り、その脇には左から右に繋がるように「死」の文字が分断されて置かれている。正に厨二デザイン(邪鬼眼的な意味の方で)。アニメ化したら、OP等の映像イメージに影響を与えそうな、確立されたかっこよさがある。
出版:スクウェア・エニックス
装丁:川谷デザイン
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
町の破壊を目論んで怪獣を育てる宇宙人、みずきちゃんのお話。
右下にみずきちゃんを小さく配置し、さらに同じイラストを背景のように大きく配置。みずきちゃんにはおへそが3つあるという特徴を大きい方のイラストで見せているが、顔が見えない人型の背景という構成で、ポップなロゴの裏で不穏さもちょっと出している。
出版:秋田書店
装丁:5GAS
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
極度の人見知り主人公の、ぼっち脱出奮闘記。
ぼっち作品、と言ったときにまず思い出されるであろう『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い』の装丁も担当したデザイナーさん再び。
こちらの主人公は結構ポジティブで、そこらへんをわかりやすくほわほわほわ~っと頭の中のプラスな妄想を賑やかしに使っていていて、巻数マークもこれに揃えている。「○○」はそのまま「まるまる」と読む、とわかりやすいロゴもポイント。
出版:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
装丁:沢田雅子
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
/ 蜈蚣Melibe
遺伝子操作によって作り出された異形、“有機人形"達の「※【おことわり】本作は一部に過激な描写が含まれています。閲覧の際はご注意ください。」という注意が付けられるようなエロティック・メルヘン。羽持ち、楽器型、戦闘型とタイプの異なる“有機人形"の並べられた表紙。文字や装飾はピンク色で統一されて、番号で紐付けられた人形データが一箇所に整理されるなどカタログのように整理されている。
出版:太田出版
装丁:hive 金子歩未
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
男の子、女の子。思春期真っ只中の日々で、性に翻弄される中学生達の物語。
背景は白で、通巻で女子を左に、男子を右、タイトルを中央に配置して、
イラストに毎回ソフトな性のニュアンスを含ませている。
タイトルの点の部分、巻数マーク、キャラの主線の色を同じにして、
イラストとタイトルにさりげない統一感が生まれている。
出版:双葉社
装丁:名和田耕平デザイン事務所
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
様々な犯罪にスポットを当てたオムニバスギャグ作品。
罪×10 = 10×罪 = じゅう・ざい = じゅうざい(重罪)。
ひねりの効いたタイトルをさらにひねりを効かせた1文字化で
鏡になるくらいつるつるのゴールド箔で大胆に配置している。
「罪」の文字の砕け方が面白い。
出版:スクウェア・エニックス
装丁:沢田雅子
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
怖さ控えめの切ないホラー短編集。
灰色の背景と左手の変色した少女。
タイトルの部分にはぺたっと張り付いたホラー手形が怖かっこいい。
(「ホラー手形」で画像検索するとペタペタ画像が出てくるけれど、
素材的には正式に何と言うのか気になる)
出版:白泉社
装丁:fabric engine
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
再登場時には変わったアレンジやオシャレな副題をつける作品が多い中、
ダイレクトな2の表記が逆に新鮮な復活4コマ作品の第1巻。
何故か教室に降る雪と、傘を差す少女。
下が白の二色分割デザイン構成は旧作から引き継がれているが、
雪を降らせることで白エリアを全部雪に見えるようにしたのは何とも粋なアレンジに思える。
出版:芳文社
装丁:里見英樹
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
フリーターの主人公がシェアハウスで再会したEDの初彼と添い寝を…というちょいエロの入った少女漫画。
ふわっと浮かんだ主人公のイラストの所々に円やラインが重なっていて、重なった部分は着衣が無くなるというオシャレエロデザインで、神視点的に着衣下が見えるという表紙はいくつかあるが、その中でも中々ポップ度が高い。「カ」と「フ」しかなくて、「フ」を「カ」と2画目と同じ形にしたタイトルも良いアイテムになっている。
出版:講談社
装丁:川谷デザイン
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
キグルミを着た少年が人を殺す縫いぐるみと対決するホラーアクション作品。
半開きのジッパーの隙間から顔を出した眼帯ヒロイン、その後ろにはクマの縫いぐるみ。ジッパーの中にヒロイン(味方)、縫いぐるみ(敵)が一まとめになっている居心地の悪さがバランスよくポップでホラーな表紙を成立させている。
出版:集英社
装丁:五十嵐卓也
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
とてもささやかなタイトル文字の大きさと
構図を凝った写真のようなイラスト配置が面白いこの表紙も
毎年紹介で4年間、完結して全冊紹介完了。
なんとなくやりとげた感があるので、おめでとう自分。
出版:講談社
装丁:G×complex 久遠敦司 []
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