火曜日, 11月 04, 2014

新しい洗濯記号

新しい洗濯記号





新しい洗濯機号がわかりにくくなった!という記事が話題になっています。

変更した背景や国際規格の記号の基本ルールなどを説明せずに、「難しすぎて覚えられない」というネガティブな印象だけを植え付けて、拡散につなげるバイラルメディアらしい記事だなぁという印象を受けました。
 

 
今までと違う記号になるわけですから覚えないといけないことはありますが、違った説明をすればここまでネガティブな伝わり方はしなかったんじゃないでしょうか。
ということで、今回の変更についてまとめられている経済産業省のページを参考に、冒頭の記事では伝えられていなかった(あえて伝えなかった?)情報をいくつか紹介します。

変更した背景

日本は世界貿易機関(WTO)に加盟しています。そのため、国際規格があるときは国際規格に整合した規格を制定する必要があります。
もちろん以前から洗濯表示に関する国際規格もあったんですが、日本の独自の慣習上、日本にしかない記号(自然乾燥やたて型洗濯機)があったため、整合が遅れていたそうです。
そこで、日本が提案をして、日本の独自の慣習上必要な記号が国際規格へ盛り込まれることになりました。
これで整合できる環境が整備された!ということで、今回のような変更をすることになったわけです。
 

国際規格の洗濯記号の基本ルール

元記事は経済産業省のページの1つのPDFにだけリンクが貼られていますが、他にも記号に関する情報は掲載されています。
繊維製品の洗濯表示に関するJISを制定というPDFには、今回の主な変更点が記載されていて、国際規格の表示の基本ルールを理解することが出来ます。元記事はなんでこっちも紹介しなかったんだろう?
それではPDFから基本ルールを抜粋して紹介します。
 

5つの基本記号

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基本的にはこれに高い低いなどの記号を組み合わせていきます。
洗濯とアイロンは直感的にわかりますね。
なんで△が漂白で、□が乾燥で、○が商業クリーニングなの?という疑問は浮かびますが、とんでもなく覚えにくいわけではありません。
本当はすべて全世界の人が直感的にわかる記号にするのが良いんでしょうけれど、漂白をイメージさせる記号とかどう表現すればいいんだろう?
 

強弱の組み合わせ

操作の強弱は下線で表現します。
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40度で非常に弱い操作で洗濯をする場合の国際規格と日本規格の比較がこちら。  
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基本ルールを覚えれば、そこまで難しい表記ではありませんよね?
 

アイロン温度の組み合わせ

こちらはアイロンの温度の高低を表す記号。
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高い温度でアイロンをかけていい場合の比較がこちら。
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結構わかりやすいような。
 

その他、難しい印象をあたえる記号について

○記号(商業クリーニング)

ドライがなんでPなんだ?など、○で囲まれた記号が覚えられない!難しすぎる!という声も多いですが、そもそも○で囲まれた表記は商業クリーニング用の記号です。
家庭で洗濯する人が必須で覚えなくてはいけない記号ではないと思います。覚えてもらうのはプロの方々に任せれば良いのではないでしょうか。
アパレルメーカーやクリーニング業者の方々は大変かもしれませんが、海外製品の流通が増える中、国際規格となり対処方法がより詳細化されることで、対応のバラツキが抑えられるようになると思います。
そう考えると、これは利用者からするとメリットなのでは?
 

手洗いOKの記号

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元記事では難しすぎる記号として出されていた「手洗いのみ」の記号。
ああいう抜粋の仕方をされたので、似たような記号が沢山あって混乱するかのように思いがちですが、手のマークを使った記号はこれのみですし、手洗いに関する記号もこれのみです。直感的にわかりますし、慣れのレベルような気がしますが……。
 

新しい記号

今まで日本になかった記号もあります。例えば、タンブラー乾燥機(衣類を、熱と共に回転させながら乾燥させる乾燥機)に関する記号。
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これは覚えないといけませんが、もともとなかったわけですから、私たちが自主的に判断できるようになったと思えばメリットになります。
 

問題になりそうな記号

日本の提案により盛り込まれた自然乾燥の記号がこちら。
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規則性があるので、慣れれば覚えてしまう記号だと思います。
ただ、ラインドライ(吊り干し)とフラットドライ(平干し)って向きによって見間違えることありますよね?
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こっちがラインドライ
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こっちがフラットドライ
これは記号の付け方に問題があるような気がします。
 

まとめ

ということで、新しい記号は、覚える必要があるのは間違いありません。
しかし、冒頭の記事が言っている「難しすぎて覚えられない」というほどではないし、私たちにとってもメリットがある変更だと私は思いました。
今後、時期等は未定ですが、新たに制定したJISが同法に引用され、新たな洗濯表示記号が義務づけられる予定です。経済産業省としては、今回のJIS制定を踏まえ、関係省庁と連携を図りつつ、消費者を含めた関係者に対して周知を図って参ります。
繊維製品の洗濯表示に関するJISを制定
すぐに変更される話ではないものの、いずれにせよ「義務付けられる」のは間違いなさそうです。
これから定期的に「洗濯記号が変わる!難しすぎる!」という記事が話題になるかもしれませんが、どうせ覚えなくてはいけないのであれば、変更のメリットや覚え方を浸透させることを目的とした前向きな記事も増えていくといいですね。