水曜日, 12月 11, 2013

『ゼロ・ダーク・サーティ』の真意

映画『ゼロ・ダーク・サーティ』の真意

 

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先日、興味深いアンケート結果を見た。戦争になったら自分の国のために闘うか否かという問い対し、闘うと答えた日本人は15.1%だったそうだ。アンケートはアメリカや中国などの24カ国で実施され、数字で見ると日本は最下位だった。

これは憂うべき結果なのだろうか。


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映画『ゼロ・ダーク・サーティ』がiTunes Storeに登場した。

『ゼロ・ダーク・サーティ』は、同時多発テロからウサマ・ビン・ラディン殺害までのドラマをCIAの視点で描いた作品。監督はキャスリン・ビグローで、私のように『ハート・ブルー』や『ハート・ロッカー』が好きな方は堪能できるはずだ。

印象的だったのは、アフガニスタンの街中でウサマ・ビン・ラディンの連絡係を追跡するシーン。携帯電話を傍受して相手に近づき、車で並走して顔写真を撮る。ハイテク機器と街の喧騒のコントラスト、そして標的との距離感が観る者を緊張させる。
また、ウサマ・ビン・ラディンの潜伏先に侵入するシーンも臨場感があった。ブラックホーク・ヘリコプターが墜落しながらも、ネイビーシールズ は着々と任務をこなす。暗視スコープを着けて建物のドアを爆破し、一階にいた連絡係を射殺。続けて3階にいたウサマ・ビン・ラディンを殺害する。

そしてウサマ・ビン・ラディンの子供が、遺体の横で泣き叫ぶ。

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日本で同時多発テロが起きたと仮定して、首謀者を匿まう国に対して日本はどのような措置を取るのだろう。憲法9条の是非が議論されつつも、敵 地に乗り込んで戦闘を仕掛ける事はないと思う。また、武力だけをアメリカに頼る事もないと信じたい。おそらく日本は、テロの残虐性を国際社会に訴え続けるだけだ。

先のアンケートで、日本に次いで戦闘に消極的な国はドイツとイラクだった。ドイツは日本と同じく第二次世界大戦で大敗し、イラクはアメリカとの戦闘で多くの市民が犠牲になった。敗戦国は戦争の残酷さを痛感している。




冒頭のアンケートで、自国のために闘うと答えたアメリカ人は63.2%だった。ブッシュやオバマの演説を聞いていると、ほどんどのアメリカ人は好んで戦闘を仕掛けているように思うが、このアンケート結果はそんな固定観念に疑問符をつける。
日本の15.1%という数字は決して憂うべきものではない。むしろ正しい数字だ。国に対する無関心など様々な問題はあるが、テロと報復の撲滅という観点で見ると、パーセンテージは低いほうがいい。

監督のキャサリン・ビグローがテロの報復に対して肯定的なのか否定的なのかは分からない。だが、この映画の真意は子供が泣き叫ぶシーンにあると思いたい。
テロで殺される親も報復で殺される親も、子供にとってはたった一人の親なのだ。


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